子どもが通う幼稚園では、年少クラスから「かがくのとも」や「こどものとも」といった
簡易版絵本(といっても軽さと大きさが小さい子ども向きというだけで、絵、ストーリともに
質はよい)が毎月配られます。
持ち帰った絵本を嬉しそうに「ママ、これ読んで!」と持ってくる様子や、
読み聞かせに聞き入る真剣なまなざし、あるときは「絵」について対話が始まったり・・・。
こういったなにげない絵本時間のなかにある「豊かさ」にふれると、癒されているのは親
である自分ということに気づいたりします。そしてそれは、絵本の配本サービスを検討する
きっかけの一つだと思います。
でもでも、こんな疑問が頭をもたげることありませんか?
・絵本は図書館で借りる、で事足りるのでは?
・絵本をわざわざ配本してもらうメリットって?
このページでは、絵本の配本サービスを利用して約10年になる私が感じる
「地味にいいわよ、絵本の配本」をお伝えします。
絵本の配本サービスとは?
子どもの年齢にふさわしい絵本を毎月自宅に1冊から2冊届けてくれるサービスです。
冊数や送料の有無は各社それぞれ。また選書基準が違うため、届く絵本から、それぞれの
会社のもつ「子ども育てのカラー」みたいなものを感じることもありますよ!
配本サービス会社については、検索するといくつもあがってくるので割愛しますが、
特長をお伝えするために、一例として、私が今も利用している「童話館ぶっくくらぶ」
を取り上げたいと思います。こんな感じです。
①子どもの年齢ごとにコースがあり、それぞれの成長にふさわしい良書が毎月自宅に届く。
②通常は2冊ですが、1冊にしてもらうこともできる。ちなみに送料は冊数に関係なく200円。
③契約すると、初回の配本時に1年間の配本リストが届く。(すでに持っている絵本が
リストにあれば、申し出て別の絵本に代えてもらえる。)
④一年たてば、次のコースにめでたく進級!なんと配本と一緒に童話館からお祝いの気持ちがに届く。
⑤子育てを始めたばかりのいわば「若葉マーク」の親に、心がふと軽くなるような、
子育て本も届く。(低頻度。事前に配本のお知らせがあるため、断ることもできる。)
⑥毎月絵本と一緒届く「童話館ぶっくくらぶ通信」が、子育てと絵本という共通項でつながる親
のふれあいの場になっている。「絵本のある子育て時間」からの学びや発見、感じたことを
共有できるため、意外にも(と言うと大変失礼なのですが)母親として反省の多い日々を
肯定できる場として、助けられた。
⑦夏休みや冬休みなどの長期休み前には、家族で楽しむためのゲームや、小さなお子さん向けの
おもちゃ、普段は配本されない類の図鑑や書籍、参考書などの案内が届く。
⑧売上の一部が、貧しい国への援助プロジェクトにまわる。
会社によりサービスの内容は違います。またどこに魅力を感じるかも人それぞれ違うので、
時間の余裕があるなら、サービス内容を比較検討してみるのも楽しいです!
私の場合は、行きつけの小児科でたまたまパンフレットをいただいたことがきっかけです。
・乳児をだっこして図書館に出向く元気がない
・図書館で何を選んだらいいかわからない
これらに加え、マンネリ化しそうな毎日のちょっとしたスパイスになれば、と申し込んだのが
気づけば10年経っていた、という話です。私の子育てに寄り添ってくれる「童話館ぶっくくらぶ」
のリンクを貼っておきます。
絵本配本サービスのデメリット
「デメリット」という言葉を用いるのは全く適当ではないのですが、配本サービスを検討する
ときに一番引っかかる点を挙げると、絵本代が毎月2000円~程度かかることでしょうか。
(毎月送料込みの1000円程度で配本してくださる会社もあります。下記リンクからご確認ください。)
月額1,300円(税・送料込)で、毎月世界の絵本をご家庭にお届けします。
絵本に毎月約2000円か…。図書館で借りてくるのでいいのでは?と思いますよね。
とはいえ手元に届くのは、子どもの興味と関係なく、また忙しい親の手持ち情報にはリストアップされて
いないような「良本」です。だからこそお宝が詰まっているととらえることができます。
わが家は週末ごとに図書館通いをしていたのでわかるのですが、子どもが選ぶ絵本って、
そのとき子どもの興味にひっかかる「表紙やタイトル」であることが多いです。だから、
こどもの小さな世界の外にある、時の洗礼を受けて読み継がれてきたような「良本」の
価値が光るのです。親の私が知らない絵本(良本ゆえに既知な絵本もあります)が
届けられたおかげで、
新しい興味が引き出されたり、未経験のことにも想像が及んだり、
多様な考えや価値観に触れたり、本を読んだ後で同じ景色をみても、読む前とは違う世界が立ち
上がってきたり、読むことでこれまでとは違う世界に子どもたちを連れ出してくれます。
心でさまざまなことを感じるのは、確かに人を豊かにしてくれるので、
私は絵本を読むことは、作物がよりよく育つための土壌づくりのようだと感じています。
だから絵本を読むことを、例えば、小学校以降で国語の成績がよくなるといった「効果」と
結び付けてとらえる方には、配本サービスはおすすめできません。
物語の世界に触れる、ひたるということは、目にみえる表面的なことではなく、
それを支える下地を豊かにする営みだからです。下地作りにしっかり手をかけておけば、
時間の経過とともにふさわしい表面が立ち上がってくる「はず」。
子どもがまだ小学生のため、断言できないですが…
少なくとも私はそう信じて、わが子の人生のなかで、長くはないであろう
絵本時間を一緒にたのしんでいます。そして月々2000円以上の価値を自分で
つくってゆこうとも思っています。
絵本配本サービスのよいところ
世代を超えた「プレゼント」を楽しみましょう
毎月2冊届いたとして、一年で24冊。わが家は10年ほどなのでだいたい240冊。
さらに、子どもが二人いるので…、結構な場所をとっていそうです。
この増えてゆくいっぽうの絵本について、私にはささやかな夢があります。
それぞれの子どもが成人して、彼らが子を育てる側になったとき、希望するなら
彼らが育った絵本をそのままプレゼントしたいと考えています。
自分が親から読み聞かせてもらった思い出のつまった絵本を、今度は親として我が子に
読み聞かせて、新しい思い出を絵本に重ねてゆくことが、どうしてもすてきなことに
思えるからです。
日常に、非日常のちょっとしたおたのしみを
物語を知る、読み聞かせを楽しむのは、図書館で絵本を借りてきても同じです。でも、
何が届くかわからない、いつ届くかもわからない。だからこそ、普通郵便で絵本がポストに
届いているのを見つけることは、小さな子どもにとって大きな出来事であるようです。
わが家の場合、こどもが郵便受けに絵本を見つけると、
「わ!ゾウさん(童話館ぶっくくらぶのトレードマーク)の絵本だ!!」と
軽く騒ぎになりまして、そのまま絵本タイムになることがよくありました。
私は家事をしなきゃいけないしこの状況、結構困るわけですが、
葛藤のすえ「今、喜んでいる子ども」に付き合いたい気持ちが少しだけ勝って、
「一冊だけ今読もうか」と提案して、納得してもらっていました。
今思えば、ゾウさんの絵本はすぐにママが読んでくれるという経験の積み重ねが、
「絵本時間は楽しい」ものとして子どものなかに育ったのもあると思います。
そんな経験から思うのです。在宅でちょっとしたサプライズ感を受け取れる仕掛けとしての
絵本の配本サービスはなかなかよいアイデアだと!
絵本を通して親子にしかわからない世界がうまれる
子どもが小学校に上がり徒歩通学をするようになったので、
朝は交通量が少ない通りまで一緒に歩いてゆきます。
たとえば大雨の朝。「学校まで車で送ってくれたらいいのに」と不満をもらす子どもたちに、
私は「あめも またたのし、かささせば・・・。」とにこやかに返します。
すると子どもたちは、ニヤリ。
これは「かぼちゃひこうせん ぷっくらこ」(アリス館出版 レンナート・ヘルシング作
スベン・オットー絵)のなかのセリフ。
おおくま君とこぐま君がまいたなぞの種が、大きなかぼちゃになり、それを飛行船して、
飛んでゆくのですが、途中立ちはだかる困難に、そのつど「○○もまたたのし、○○なら」と
一つひとつ前向きに乗り越えてゆくお話です。
子どもの不満に「雨を嘆くよりさ~、傘がある幸せに目を向けようよ」と言うより、
刺さります。効きます。こどもたちは「ううう、仕方がないなぁ」といった感じで
とぼとぼ歩き出します、笑。
正論をかざさなくとも、お説教めいたことを言わずにすむのも、
「かぼちゃひこうせん ぷっくらこ」の世界を一緒にたのしむことを通して、
子どもが物語から「たいせつなこと」を汲み取っているからだと思います。
さいごに
絵本時間という地味な行為がもたらす親子の対話、自分の心との対話、
心を耕すことの豊かさって何だろう?この記事を書くにあたって考えました。
金魚鉢の金魚には、そこが世界のすべてだけど、絵本や本を読むことで、
自分が住む金魚鉢は小さな世界の一つにすぎず、外には別の世界がひろがっている
「可能性」について考えることができます。絵本を通して手にした想像力や、喜怒哀楽といった
感情を体験することが、子どもたちが世界をひろげてゆくなかで困難に出合ったときに、
彼らを支える力の一つになるといいな、というのが今の答えです。
絵本の配本をうまく活用して、地味な絵本時間にうもれているキラキラを是非みつけてくださいね。